リアルユーザー・モニタリングとは? (RUM)

紹介

リアルユーザーモニタリング(RUM)は、ウェブアプリケーションのパフォーマンスとユーザーエクスペリエンスを理解し、最適化するための強力な手法です。 実際のユーザーとウェブサイトとのやり取りをキャプチャして分析することで、RUMはパフォーマンスの問題やユーザーの行動に関する貴重な洞察を提供します。
この記事では、RUMについて、その仕組み、効果的に実装するための主な利点とベストプラクティスを検討します。

リアルユーザーモニタリングとは?

リアルユーザーモニタリング(RUM)は、実際のユーザーがウェブサイトやウェブアプリケーションとどのようにやり取りしているかのデータを収集するパッシブなモニタリング手法です。
ページのロード時間から、さまざまなデバイスやネットワーク状態でのユーザーとのインタラクションまで、ユーザー・エクスペリエンスのあらゆる側面を追跡します。
このデータは、パフォーマンスのボトルネック、ユーザーの行動パターン、オンライン・アプリケーションの改善領域を特定するために分析されます。

RUMの仕組み

RUMは通常、アプリケーションのウェブページに小さなJavaScriptスニペットを埋め込むことで動作します。
このスニペットは、以下のような様々なパフォーマンス・メトリクスとユーザー・インタラクションを収集します:

  • Page Load Time(ページ読み込み時間):ページを完全に読み込むのに必要な時間。
  • 最初のバイトまでの時間(TTFB):この指標は、サーバーがクライアントにデータの最初のバイトを送信するまでの間隔を測定します。
  • ファースト・コンテンツフル・ペイント(FCP):最初のコンテンツが画面にレンダリングされる時間。
  • ユーザーインタラクション:クリック、フォーム送信、ナビゲーションなどのアクションをキャプチャします。
  • エラー率:ユーザーが遭遇するエラーの頻度を監視する。
  • ネットワーク・タイミング:DNS解決、接続時間、その他のネットワーク関連メトリクスを測定します。
  • 待ち時間:ユーザーのアクションとサーバーのレスポンス間の通信プロセスにおける時間遅延を追跡する。
  • JavaScriptエラー:クライアント側のJavaScriptエラーをキャプチャし、ユーザーエクスペリエンスに影響を与えます。
  • API:ウェブアプリケーションが使用するAPIのパフォーマンスを監視します。
  • 応答時間:サーバーがユーザーのアクションに応答するまでの時間を測定します。
  • ユーザーセッション:ウェブサイトへの1回の訪問におけるユーザーのインタラクション全体を追跡し、ユーザー・ジャーニーと全体的なエクスペリエンスに関する洞察を提供します。

収集されたデータはサーバーに送られ、そこで集計・分析され、全体的なパフォーマンスとユーザー体験に関する洞察が得られる。

実装例:グーグルアナリティクスRUM

Googleアナリティクスは、そのユーザータイミング機能を通じて、リアルユーザーモニタリング機能で広く使用されています。
その仕組みは以下の通りです:

  • JavaScriptスニペットを埋め込むGoogle Analyticsのトラッキングコードをウェブサイトに追加します。
    このスニペットには、ユーザーのタイミングデータを収集する機能が含まれています。
  • User Timingsの設定:ページやリソースのロード時間など、特定の指標をトラッキングするために、ユーザータイミング機能を設定します。
    これには、Google Analyticsにタイミングデータを送信するためのコードをページに追加する必要があります。
  • データ収集:ユーザーがサイトにアクセスすると、埋め込まれたJavaScriptがタイミングデータを収集し、Google Analyticsサーバーに送信します。
  • 分析とレポート:Google Analyticsはデータを集計し、さまざまなパフォーマンス指標に関するレポートを提供します。これにより、さまざまなユーザーセグメントで異なるページやリソースがどのように機能しているかを確認することができます。

実装例:New Relic RUM

New Relic もまた、包括的なリアルユーザー監視機能を提供する人気のツールです。
その仕組みは以下の通りです:

  • JavaScript スニペットの埋め込みページに JavaScript スニペットを追加することで、New Relic RUM エージェントをウェブアプリケーションに統合します。
  • メトリクスの設定:ページ・ロード時間、ユーザー・インタラクション、エラー・レートなど、アプリケーションに関連する特定のメトリクスを追跡するように設定をカスタマイズします。
  • データ収集:RUMエージェントは、ユーザがサイトにアクセスすると、リアルタイムのパフォーマンスデータを収集します。
  • 分析と可視化:New Relic は収集したデータを集約し、詳細なダッシュボードとレポートを提供し、主要なパフォーマンス指標 (KPI) と潜在的な問題をハイライトします。
  • 合成モニタリングの統合:RUMデータを合成モニタリングデータと組み合わせることで、実世界のユーザー・エクスペリエンスと制御された合成テストを包括的に表示します。

リアルユーザー・モニタリングの利点

  • 包括的な洞察:RUMは、さまざまなデバイスやネットワーク条件にわたって実際のユーザー・インタラクションをモニタリングすることで、ユーザー・エクスペリエンスの完全なビューを提供します。
  • パフォーマンスの最適化:パフォーマンスのボトルネックや読み込みの遅いページを特定することで、RUMはウェブサイトの速度と効率を改善するための最適化を支援します。
  • ユーザー行動分析:ユーザーのワークフローとサイトとのインタラクションを理解することで、より良いユーザー設計と機能改善が可能になります。
  • エラー検出:RUMは、ユーザーが遭遇したエラーの検出と診断を支援し、迅速な解決と信頼性の向上につながります。
  • リアルタイム・モニタリング:リアルタイムのユーザー・エクスペリエンス・データを提供するため、パフォーマンス上の問題に即座に対処できます。
  • デジタル・エクスペリエンスの向上:パフォーマンス指標を継続的に監視し最適化することで、デジタル体験全体を向上させます。
  • カスタマー・エクスペリエンスの向上:ウェブサイトとのスムーズで迅速かつ信頼性の高いインタラクションを確保することで、顧客体験を向上させます。
  • 根本原因の分析:パフォーマンス問題の根本原因分析を促進し、より効果的なトラブルシューティングと解決を可能にします。
  • エンドユーザー・エクスペリエンス重視:実際のエンドユーザー体験に焦点を当て、ユーザーの視点に直接関連する洞察を提供する。
  • ユーザー・エクスペリエンスのモニタリング:ユーザー・エクスペリエンスの指標を継続的に追跡し、高い満足度とユーザビリティを確保します。

リアルユーザー・モニタリングの導入

  • 適切なRUMツールを選ぶGoogle Analytics、New Relic、Dynatraceなど、複数のリアルユーザーモニタリングツールが利用可能です。
    どのツールが自社のニーズに合っていて、既存のインフラとうまく統合できるかを理解しましょう。
  • RUMスクリプトを埋め込む:提供されたJavaScriptスニペットをウェブページに追加します。
    できるだけ早くデータを収集できる場所に配置してください。
  • データ収集を設定します:追跡したいメトリクスとユーザー・インタラクションを決定します。
    このデータを収集するためにRUMツールを構成します。
  • データを分析する:RUMツールが提供するダッシュボードとレポートを使用して、収集したデータを分析します。
    パフォーマンスの傾向、ユーザーの行動パターン、改善点を探します。
  • 洞察に基づく最適化:RUMのデータから得られたインサイト(洞察)に基づいて、ウェブサイトに変更を加えます。
    これには、ページのロード時間の最適化、エラーの修正、ユーザーインターフェイスデザインの改善などが含まれます。
  • ユーザー・ジャーニー・マッピングユーザージャーニーを追跡・分析し、ユーザがサイトをどのようにナビゲートしているかを理解し、摩擦ポイントを特定します。
  • ウェブサイトのパフォーマンス監視:Webサイトのパフォーマンスを継続的に監視し、問題を迅速に検出して対処します。
  • 合成モニタリングの統合:RUMを合成モニタリングと組み合わせることで、実際のユーザーデータを合成テストと照らし合わせて検証し、包括的なパフォーマンスの概要を把握することができます。
  • アプリケーション・パフォーマンス・モニタリング(APM):RUMをAPMツールと統合することで、フロントエンドとバックエンドのパフォーマンスを全体的に把握できます。
  • ユーザーセッションの監視:個々のユーザーセッションを追跡することで、1回の訪問でユーザーがサイトにどのようにアクセスしたかを把握し、パターンや問題の特定に役立てることができます。

リアルユーザー・モニタリングのベストプラクティス

  • 主要な指標を監視:ページのロード時間、TTFB、FCPなど、ユーザー・エクスペリエンスに影響を与える最も重要なパフォーマンス指標に焦点を当てます。
  • データのセグメント化:デバイスの種類、ブラウザ、地域など、さまざまなユーザー・セグメントに基づいてデータを分析し、パフォーマンスの問題をより詳細に把握します。
  • パフォーマンス・ベンチマークの設定:主要なパフォーマンス指標のベンチマークを設定し、継続的な改善を確実にするために、長期にわたって監視する。
  • アラートの自動化:パフォーマンスの著しい低下やエラーの急増に対してアラートを設定し、即座に対策を講じることができます。
  • DevOpsとの統合:RUMデータをDevOpsプロセスと統合することで、パフォーマンスの最適化が開発ライフサイクルの継続的な一部となるようにします。
  • コアウェブバイタルを監視する:コアウェブバイタルは、健全なウェブパフォーマンスのためにGoogleが定義した重要な指標であるため、注意してください。
  • ユーザー・エクスペリエンスのモニタリング:ユーザー・エクスペリエンスの指標を継続的に追跡し、高い満足度とアプリの使いやすさを保証します。
  • パフォーマンスデータの分析:業績データを定期的に分析し、傾向、パターン、改善点を特定する。
  • カスタマー・エクスペリエンス重視:RUMのデータを使用して、常に顧客体験を優先し、ウェブサイトをユーザー中心に改善します。
  • ユーザーアクションのトラッキング:クリック、フォーム送信、その他のインタラクションなど、特定のユーザーアクションを監視することで、ユーザー行動に関する洞察を得て、全体的なユーザーエクスペリエンスを向上させることができます。
  • リアルユーザー・モニタリング・ツール:包括的な機能と機能を提供する高度なリアル・ユーザー・モニタリング・ツールを活用して、詳細なパフォーマンス・データとユーザー・インタラクションを取得します。
  • RUMソリューションの選択:ビジネスニーズに合致し、既存のモニタリングソリューションやワークフローとシームレスに統合できるRUMソリューションを選択します。

結論

Real User Monitoringは、ウェブ・アプリケーションのパフォーマンスとユーザー・エクスペリエンスを理解し、最適化するために不可欠なツールです。
実際のユーザー・インタラクションとパフォーマンス測定基準に関する包括的な洞察を提供することにより、RUMは、企業がウェブサイトを改善し、ユーザー満足度を高め、より良い運用効率を達成することを可能にします。
RUM を効果的に実装するには、適切なツールを選択し、適切に設定し、収集したデータを継続的に分析して対処する必要があります。

RUMのパワーを活用することで、企業はウェブアプリケーションがシームレスで満足のいくユーザー体験を提供できるようになります。

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